業務管理者の役割

業務管理者は、賃貸住宅管理業者の営業所又は事務所において行われる管理業務の実施の適正性を確保し、管理受託契約に基づく管理業務が適切に履行されるよう、従業員の指導監督を行うために必要な知識及び経験を有する者であり、その業務の管理及び監督を行う役割を担っています。

業務管理者に課される義務

業務管理者は、営業所または事務所における以下の業務に関し、管理し、他の従業者を監督する義務を行います。(施行規則13条)

  1. 管理受託契約の締結前の書面の交付(法13条)
  2. 管理受託契約の締結時の書面の交付(法14条)に関する事項
  3. 維持保全の実施に関する事項
  4. 家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
  5. 帳簿の備付け等(法18条)に関する事項
  6. 賃貸人に対する定期報告(法20条)に関する事項
  7. 秘密の保持(法21条)に関する事項
  8. 入居者からの苦情の処理に関する事項
  9. 上記の他に賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するために必要な事項として国土交通大臣が定める事項

業務管理者の設置人数

法令上は、業務管理者は「営業所又は事務所ごとに、一人以上」置かなければならないとのみ規定されています。

もっとも、賃貸住宅管理に係る賃貸住宅の戸数、賃貸住宅管理を遂行する従業員の数は営業所又は事務所ごとに異なるため、賃貸住宅管理業者は、入居者の居住の安定の確保等の観点から、当該営業所又は事務所においてその従業員が行う管理業務等の質を担保するために必要な指導、管理、及び監督をし得るだけの数の業務管理者を配置することが推奨されています。

業務管理者の要件

賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅の維持保全(建物・設備の点検・維持・修繕等)、家賃・敷金等の金銭の管理を行うほか、オーナーと入居者との間の賃貸借契約の更新・解約に係る業務、入居者からの苦情への対応に係る業務、入居者の入退去に係る業務等についても行うこととなります。

そのため、法律等の専門的な知識が必要とされるほか、個々に状況が異なる賃貸住宅において多様な事態に適時適切に対応するために、それぞれの業務に係る豊富な経験やノウハウが必要です。

これを踏まえて、賃貸住宅管理業法施行規則第14条は、業務管理者の要件を以下のように定めています。

  • 管理業務に関する二年以上の実務経験(※1)+登録試験に合格した者
  • 管理業務に関する二年以上の実務経験(※1)+宅建士+指定講習を修了した者

※1実務の経験に代わる講習を修了している者も対象となる。

法施行後一定期間は、宅地建物取引士・登録試験合格者・賃貸不動産経営管理士がそれぞれ業務管理者になるための要件は、下の図の通りとなっています。

令和2年度までに賃貸不動産経営管理士に合格した方も、令和4年6月(移行期間終了)までに新法の知識についての講習(移行講習)の受講が必要となっているため、注意が必要です。

出典:一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会 https://chintaikanrishi.jp/

よくある質問

入居者対応のみを行い、法令上の管理業務を行っていない支店の場合、業務管理者の設置は必要ですか?

法令上の管理業務を行っていない場合には、「営業所又は事務所」に該当しないため、業務管理者の設置の必要はありません。

専任の宅建士が業務管理者として従事することはできますか?

業務管理者が宅地建物取引士も兼務する等、他の業務を兼務したとしても、法違反とはなりません。

宅建業法においても、「宅地建物取引業を営む事務所における専任の宅地建物取引士が、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第12条第1号の規定により選任される業務管理者を兼務している場合については、当該業務管理者としての賃貸住宅管理業に係る業務に従事することは差し支えない」とされています(宅建業法の解釈運用の考え方)。

ただし、業務管理者は、入居者の居住の安定の確保等の観点から賃貸住宅管理業者の従業員がお子合う管理業務等について必要な指導、管理、及び監督の業務に従事できる必要がありますので、法令が求める対応が困難となるおそれがある場合には、専任の宅建士が兼務するのではなく、それ以外の者を業務管理者として専任するなどの対応が必要となります。

業務管理者の配置状況に変更が生じた場合、どのような手続が必要ですか?(関東地方整備局が管轄の場合)

業務管理者の配置状況に変更が生じた場合、登録時の申請方法(電子申請・紙申請の方法を問わず)、変更が生じた日から1週間以内に、別記様式第五号のエクセルデータを関東地方整備局のメールアドレス宛に送付する必要があります。